労働者派遣法の改正

平成24年4月6日に改正労働者派遣法が公布され、平成24年10月1日より施行されました。
主な内容は
①日雇派遣の原則禁止
②グループ企業内派遣の8割規制
③離職後1年以内の労働者派遣の禁止
④マージン率等の情報提供について
⑤待遇に関する事項等の説明について
などです。
以下それぞれの項目について、厚生労働省のホームページに掲載されている、改正労働者派遣法に関するQ&Aから主要な部分を再掲します。

日雇派遣の原則禁止について

Q 日雇いという働き方は全面的に禁止されるのですか。
A 原則禁止とされるのは、あくまでも日雇派遣であり、直接雇用による日雇就労は禁止されておりません。
Q 雇用期間が31日以上の労働契約を締結しているが、その期間中、労働者を複数の会社に派遣することは問題ありませんか。
A 雇用期間が31日以上あれば、日雇派遣には該当しません。例えば、雇用期間が31日以上の労働契約を締結し、A社へ2週間、B社へ1週間、C社へ2週間派遣することは差し支えありません。
Q 雇用期間が2ヶ月の労働契約終了後、残務処理や引継等のため、新たに雇用期間が30日以内の労働契約を結ぶことは可能ですか。
A ご質問の場合のように、雇用期間が30日以内であれば、日雇派遣の原則禁止に抵触します。
Q 雇用期間が3ヶ月の労働契約を締結し労働者派遣を行っていたが、派遣労働者本人からの自発的申出により離職となり、結果的に雇用期間が30日以内となった場合には、日雇派遣の原則禁止に抵触しますか。
A ご質問のような場合には、日雇派遣の原則禁止に抵触しないものと判断されます。
Q 日雇派遣の原則禁止の例外となる場合として、「60歳以上」「昼間学生」「副業(生業収入が500万円以上に限る。)」「主たる生計者でない者(世帯収入が500万円以上に限る。)」が示されていますが、例外として取り扱われるためには、このいずれかの要件を満たせばよいということですか。
A そのようなご理解でよい。
Q 日雇派遣の原則禁止の例外要件の判断に用いられる「収入」とは、税金や社会保険料控除前であると理解していいですか。
A そのようなご理解でよい。
Q 例えば、生計を一にする世帯の中に3名(A・B・C)の稼得者がおり、世帯収入に占めるAの収入割合が40%、Bの収入割合が30%、Cの収入割合が30%となっている場合、3名全員が「主たる生計者でない者」に該当すると判断していいですか。
A そのようなご理解でよい。
Q 日雇派遣の原則禁止の例外として認められる「副業(生業収入が500万円以上ある場合に限る。)」とは、当該労働者の主たる業務の収入が500万円以上という理解でいいですか。例えば、、三つの業務を掛け持ちしており、それぞれの業務の収入が400万円、80万円、20万円である場合、これらを合算すると500万円になるが、これは「生業収入が500万円以上」という要件を満たすものではないという理解でいいですか。
A そのようなご理解でよい。

グループ内派遣の8割規制について

Q グループ企業内派遣の8割規制が適用されるのはいつからですか。また、派遣割合の報告が求められるのはいつからですか。
A 改正労働者派遣法の施行日以降に開始する事業年度から適用されます。従って、事業年度の開始が4月の派遣元事業主であれば、平成25年4月の事業年度からグループ派遣の8割規制が適用され、当該事業年度の実績を平成26年6月末までに報告することが必要です。
Q 持分法適用会社は、関係派遣先の範囲に含まれないという理解で宜しいですか。
A そのようなご理解でよい。
Q 派遣元事業主の子会社は、関係派遣先の範囲に含まれますか。
A 派遣元事業主が連結決算を導入している企業グループに属するか否かにより判断されます。
具体的には、派遣元事業主が連結決算を導入している企業グループに属する場合には、「派遣元事業主の親会社の連結子会社」に含まれるかどうかにより判断され、派遣元事業主が連結決算を導入している企業グループに属さない場合には、関係派遣先の範囲には含まれません。
Q 派遣割合の算定基礎となる総労働時間には、残業時間等が含まれるという理解でいいですか。
A そのようなご理解でよい。
Q グループ企業内派遣の対象となる派遣労働者の人数が全体の8割を超えている場合であっても、総労働時間に基づき計算した結果(派遣割合)が8割を超えていなければ、グループ企業内派遣の8割規制に抵触しないという理解でいいですか。
A そのようなご理解でよい。

離職後1年以内の労働者派遣の禁止について

Q 禁止対象となる「派遣先」とは「派遣先事業者」のことであり、例えば、A工場を離職した労働者を同一事業主のB工場に派遣することも禁止対象となるという理解でいいですか。
A そのようなご理解でよい。
Q 過去1年以内にA法人のB事業所に派遣した経験のある派遣労働者を、同一法人(A法人)の別の事業所(C事業所)に派遣することが禁止されているわけではないという理解でよろしいですか。
A そのようなご理解でよい。
Q 改正労働者派遣法の施行前に離職した労働者については、「離職後1年以内の労働者派遣の禁止」は適用されないという理解でいいですか。
A 離職した労働者の離職日が改正労働者派遣法の施行前であっても、労働者派遣契約の締結が改正労働者派遣法の施行日以降であれば、離職後1年以内の労働者派遣の禁止は適用されます。
Q 派遣労働者が派遣先となる事業主を過去1年以内に離職していないことを確認する方法として、派遣先からの通知がされる前は、労働者本人からの申告によらざるを得ないが、そのような理解でいいですか。
A そのようなご理解でよい。

マージン率等の情報提供について

Q いわるるマージン部分(派遣料金と賃金の差額部分)について、労働者や派遣先に正確な情報を提供する観点から、教育訓練費や法定福利費・法定外福利費等に分けて情報提供したいと考えているが、そのような取扱いで差し支えないですか。
A そのような取扱いで差し支えありません。いずれにせよ、情報提供の際には、マージン率のみならず、教育訓練やその他参考となると認められる事項(福利厚生費等)について可能な限り分かりやすく記載することで、派遣元事業主の取組が労働者や派遣先等に正確に伝わるようにすることが重要です。
Q マージン率等の情報提供は、いつから義務付けられるのですか。
A 改正労働者派遣法の施行後に終了する事業年度分から情報提供の対象となります。従って、事業年度の終了が3月末の派遣元事業主であれば、平成25年4月以降速やかに公表する必要があります。

待遇に関する事項等の説明について

Q 改正後の労働者派遣法第31条の2の規定により派遣元事業主に義務付けられる「待遇に関する事項等の説明」とは、労働契約締結前の説明を指しており、例えば、登録状態にある労働者に対するような場合等が該当するという理解でいいですか。
A そのようなご理解でよい。
Q 労働契約の締結前である以上、説明する「賃金の額の見込」は一定の幅を持ったものとならざるを得ないが、そのような取扱いでもいいですか。
A そのようなご理解でよい。
Q 「賃金の額の見込み」の説明方法として、例えば、「派遣元事業主のホームページにより確認されたい」という形で説明に代えることは可能ですか。
A 「賃金の額の見込み」については、書面、ファックス又は電子メールにより説明する必要があり、ご質問のような方法による説明は認められません。
ただし、「賃金の額の見込み」以外の事項に関しては、書面、ファックス又は電子メール以外の方法による説明することも可能であり、口頭やインターネット等による説明も認められます。

派遣料金額の明示について

Q 労働者に明示する派遣料金額を「当該事業所における派遣料金額の平均額」とする場合について、明示すべき額は当該事業所に所属する全派遣労働者の全業務平均の額で足り、必ずしも業務別に分けて計算する必要はないという理解でいいですか。
A そのようなご理解でよい。
Q 派遣料金額を明示する場合の金額の単位(時間単位・日単位・月単位等)には、制限がないという理解でいいですか。
A そのようなご理解でよい。

その他

Q 労働契約申込みのみなし制度の具体的な運用については、いつ明かになるのですか。
A 労働契約申込みみなし制度の施行は平成27年10月1日とされており、それまでにお示しします。
Q いわゆる26号業務の号番号について、改正労働者派遣法の施行に伴う政令改正により変更が生じているが、改正政令の施行前に締結した契約書に「●号業務」(旧号番号)という記載がなされている場合には、改正政令の施行後に契約書を変更する必要がありますか。
A 次回の契約更新時に改正後の政令に基づく条番号及び号番号を記載すればよく、改正政令の施行前に締結した契約書まで変更する必要はありません。
Q 派遣元事業主から派遣先への通知事項に「派遣労働者が無期契約であるか否か」が追加されますが、改正労働者派遣法の施行前に締結した労働者派遣契約についても、改正労働者派遣法の施行後に当該派遣労働者が無期契約であるか否かを追加通知する必要がありますか。
A 次回の契約更新時に「派遣労働者が無期契約であるか否か」を通知すればよく、改正労働者派遣法の施行前に締結した契約に関して、改正労働者派遣法の施行後に追加通知する必要はありません。
Q 今回の改正は、一般派遣元事業主だけではなく特定派遣元事業主に対しても当然適用されるものであると理解していいですか。
A そのようなご理解でよい。