令和7年5月9日
税理士 吉村 潤
法人版事業承継税制は、後継者である受贈者・相続人等が、円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において、その非上場株式等に係る贈与税・相続税について、一定に要件のもと、その納税を猶予し、後継者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度です。
この法人版事業承継税制には、「一般措置」と「特例措置」(令和9年12月31日まで)の2つの制度があり「特例措置」については。事前の計画策定等や適用期限が設けられていますが、納税猶予の対象となる非上場株式等の制限(総株式数の最大3分の2まで)の撤廃や納税猶予割合の引上げ(80%から100%)がされているなどの違いがあります。
今回の税制改正では「特例措置」の適用を受ける条件として、贈与を受ける後継者は役員就任から3年以上経過していなければなりませんでしたが、令和7年1月1日以後の贈与からは、贈与の直前において役員等に就任していれば適用を受けることができます。
個人版事業承継税制は、青色申告に係る事業(不動産貸付業等を除くます。)を行っていた事業者の後継者として円滑化法の認定を受けた者が、令和10年12月31日までの贈与又は相続等により、特定事業用資産を取得した場合、その青色申告に係る事業の継続等、一定の要件のもと、その特定事業用資産に係る贈与税・相続税の納税が猶予され、後継者の死亡等、一定に事由により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納税が免除されるものです。
今回の税制改正により、後継者は3年以上事業に従事している要件が、贈与直前において事業に従事していればよいこととされました。
○いずれの制度についても、猶予の適用を受けるためには担保を提供する必要があり、また、猶予の適用を受けている期間中は継続届出書の提出もあります。
それから、適用を受けてから猶予期間中に継続要件等に該当しなくなった場合に猶予税額と合わせて利子税を納付する必要が生じます。
この制度は、先代経営者から後継者も含め長期に影響が亘ることに十分留意しておく必要があります。
○詳しくは、税理士法人柴田税務会計事務所 吉村迄お尋ねください。