令和7年3月3日
税理士 小野 貴裕
以前より空き家問題が指摘されています。相続で空き家を取得したが相続人が放置し、空き家が増えることで事故や犯罪の元になり、地域の不動産価値を下げています。一方で家屋の建つ土地は更地よりも固定資産税額が低くなるため、家屋の解体も進みません。
対策の一つとして平成28年税制改正により、相続により取得した空き家及びその敷地を売却した際に、譲渡所得から3000万円を控除する「空き家特例」ができました。ここではその概要を見ていきます。
被相続人が亡くなるまで住んでおり、死後誰も住んでいない空き家を相続人が売却した際に、譲渡所得の金額から3000万円が控除されます。譲渡所得は売った値段から買った値段を差し引いて計算しますが、購入価額不明の場合は売った値段の5%で買ったとみなします。そのため所得は出やすくなります。
被相続人の住んでいた家を「被相続人居住用家屋」といいます。家屋とその敷地になっていた土地で、次の要件を満たすものが対象です。
1.昭和56年5月31日以前に建築されこと。2.区分所有登記されていないこと。
3.相続開始直前に相続人以外に誰も住んでいないこと。一部例外があります。
1.相続によって「被相続人居住用家屋」及び敷地を取得した相続人が譲渡すること。
2.「被相続人居住用家屋」及びその敷地を譲渡する場合と、家屋を取り壊してからその敷地のみを売却する場合があります。いずれの場合にも、相続から譲渡の時までに事業、貸付、居住の用に供していないことが必要です。
3.相続開始時より3年を経過した日の年の12月31日までに譲渡すること。
4.売却代金が1億円以下であること。(以下略)
不動産の譲渡であるため、購入時、売却時の売買契約書や登記簿、その他費用の書類が必要です。空き家特例の場合には加えて「被相続人居住用家屋等確認書」が必要となります。これは「相続人が亡くなるまで一人で住んでいて、死後誰も住んでいないこと」を確認するもので、市役所等に申請して発行してもらいます。確認書の取得には必要書類が多く手間と時間がかかるため、この特例を適用する場合には早めに準備しましょう。
〇詳しくは、柴田税務会計事務所 小野迄お尋ねください