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居住用賃貸建物の仕入税額控除について

令和7年7月7日

税理士 小野 貴裕

令和2101日以降の取引分より、居住用賃貸建物の取得にかかる消費税額は仕入税額控除の対象外となりました。ここでは居住用賃貸建物を購入した際に支払った消費税額は消費税の計算で控除されるのか、また後に発生する資本的支出の場合はどうかを見ていきます。

経緯

消費税は売上で預かった税額から仕入や経費、設備投資など(以下仕入等)で支払った税額を差し引いて計算し、その差額を納付し、マイナスとなれば還付を受けることとなります。課税売上の消費税額から差し引ける消費税を仕入税額控除と言います。ここで差し引く消費税の額は基本的に課税売上に対応して発生する仕入等の分であり、課税仕入と言います。

マンションや住居を購入した際に支払う建物の消費税額は、売上である賃貸料収入が非課税となるためこの課税仕入ではなく、消費税の計算では控除できません

ここで消費税の計算方式として一括比例配分方式を使うことで、課税仕入の消費税、非課税仕入の消費税に関係なく支払った税額の一定の割合が仕入税額控除となるため、以前より自販機の収入、金地金の売上を用いた特殊なスキームを使い、消費税の還付が行われてきました

令和210月の改正では居住用賃貸建物の取得で支払う消費税額を仕入税額控除の対象外としたため、これらのスキームは封じられることとなりました。

居住用賃貸建物及び付属設備を購入した場合の仕入税額控除

消費税法第30条は仕入税額控除について規定されています。その第10項で「住宅の貸付けの用に供する建物(その附属設備を含む)については適用しない」とされており、建物も同時に取得する付属設備も仕入税額控除の対象外となります。

数年後に発生した資本的支出についての仕入税額控除

資産を取得してしばらくたつと修繕や改良をすることがあります。壊れたものを元に戻す支出は修繕費となりますが、支出によって価値が増したり使用期間が延長する場合、資本的支出として固定資産と同様の扱いを受けることとなります。その支払いについての消費税の取扱いについては、消費税法基本通達11-7-5により元の建物と同じ扱い、つまり仕入税額控除の対象外となります。

○詳しくは、柴田税務会計事務所 小野迄お尋ねください。