2025年9月11更新

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暗号資産の取引による利益の申告

令和7年9月1日

税理士 小野 貴裕

暗号資産とは2008年のビットコインから始まった電子的な資産であり、従来の通貨と違い政府の保証を全く持たないものです。当初の仮想通貨と呼ばれていた頃から種類も総額も増え、今や金融商品の一つとして売買され、決済手段として利用されています。ここでは個人の方が暗号資産を取引したことで得た利益の確定申告の手続きを見ていきます。

暗号資産の取引によって得た利益

通常は雑所得して所得税の確定申告が必要となります。利益の金額は売却して得た金額から購入に要した金額、電気代や通信費などのかかった経費を控除して計算します。ここでの利益の金額は日本円などの通貨であり、含み益が出ていても売っていない場合には利益とは考えません。利益は実現した時に認識しますが、これは単純に売却した時のほか、物の購入に充てた時(決済手段としたとき)他の暗号資産の切り替えした時を含みます

確定申告の際の所得の種類

暗号資産による利益は通常雑所得として計算されますが、一部事業所得として計算できる場合があります。事業所得は個人の方が商売(=事業)を行っていた時に計算するものですが、暗号資産の取引が事業とみられるほど反復継続して行われており、また他の事業と同様に帳簿が作成されていることなどの条件が必要となります。

会社員の方が副業で行うこともありますが、それが事業所得と認められるケースはまれと言われています。そもそも投機性が強い安定した収入を得られるとは限らない。本業で安定した収入(給与)がある。といったことが理由です。

個人事業主の方は元々事業所得がありますが、暗号資産の取引が主な仕事であればともかく、通常は会社員の副業と同様に暗号資産の取引を事業とするのは難しいと言われます。

事業所得とした場合のメリット

事業所得は他の給与所得などとの損益通算ができ、また青色申告の申請が認められれば3年間の損失の繰り越しができます。これはある年に損失が出ても、以後の3年間のどこかで利益が出れば相殺できるというものです。他の所得との相殺、繰越控除のいずれにしても税金の減額、還付が見込まれます。雑所得ではこういった相殺の話はありません。青色申告をする場合には事前に届け出が必要となります。

その他

会社員の方の副業の場合、1年間の利益の金額が20万円以下であればそもそも所得税の確定申告は必要ありません。

○詳しくは、柴田税務会計事務所 小野迄お尋ねください。