令和7年8月8日
税理士 柴田 幸男
現金贈与も多額になると贈与税の負担が大きくなるうえ、しっかりと証拠を残さなければなりません。また、将来の相続税の納税資金としてあげたつもりが、もらった人がそれまでに使い切ってしまう恐れがあるため、なかなか現金贈与に踏み切れないこともあるでしょう。
このような問題を解決するために保険契約を締結し現金贈与するつもりで、毎年の保険料を負担してはいかがでしょうか。被相続人本人が自分に生命保険をかけると、自分が亡くなった時に受取人に多額の死亡保険金が支払われるほか、思いもかけない特典があります。
保険契約に基づく死亡保険金を受け取った場合、誰が保険料負担者なのか、誰が保険金受取人なのかによって税金が異なります。相続税の課税対象となる死亡保険金を受け取った場合の非課税枠について説明します。
保険料負担者が自分自身に掛けた保険金の受取人が相続人である場合は、税法上、死亡保険金は被相続人から相続人へ相続されたものとみなされます。生命保険金は遺族の生活の支えとなるものですから、社会政策的な見地上、次の一定金額については相続税が課されないようになっています。
なお、この非課税枠は相続人に限定されていますので、多額の生命保険金をもらったとして相続を放棄した人や、子の配偶者や孫等の相続人以外の人は対象になりません。
(生命保険の非課税枠の計算)
500万円×法定相続人の数=非課税金額
注1)法定相続人の数は、相続の放棄がなかったものとして計算する。
注2)養子がある場合には、実子がいれば1人、実子がいなければ2人までしか法定相続人の数に加えることができません。
この非課税枠を活用するためには、保障が一生涯続く終身保険に加入するとよいでしょう。なぜなら、相続が発生する前に満期が来るようでは、相続時には意味がありません。養老保険や定期保険では長生きすれば、保険期間が終了してしまい、保険が消滅してしまいます。
〇相続税・贈与税についてのご相談は、柴田税務会計事務所 柴田までお尋ねください。