令和7年8月1日
税理士 小野 貴裕
会社が従業員さんに食事を支給することがあります(以後、食事補助とします)。会社の福利厚生として魅力のあることですが、一方で税法上の制約がかかり、条件を満たさないものは給与として扱われて源泉徴収の対象となります。
ここでは食事補助制度の概要と沿革を見ていきます。
福利厚生費は従業員の慰労や生活の補助のために要する費用で、法定のものと法定外のものに分かれます。法定のものは法定福利費となり、社会保険料のように法律で義務付けられた費用を指します。法定外のものが福利厚生費となり、食事補助もその一つとなります。
次の二つの条件を満たせば食事補助は福利厚生費となります。満たさないものは給与となります。
① 従業員が食事代の半分以上を負担していること。
② 会社負担の金額が1か月あたり消費税抜きで3,500円以下となること。
ここで補助は食事自体を提供するか社員食堂のチケットなどを支給する方法に限られ、現金で手当として支給する場合には給与となります。
また上限額の3,500円を超えた場合、会社負担の金額と3,500円との差額ではなく、負担額全額が給与とされてしまいます。
食事の提供が非課税となる取り扱いは以前からありましたが、当初の月の上限は700円でした。1975年に食事補助制度が始まり、月の上限額は2,500円とされました。また従業員が半分以上を負担するとの条件が決められました。
その後物価の上昇によって実態調査があり、1984年に上限額は3,500円と改正されました。
以後40年改正のないまま現在に至ります。
40年前と比べて物価は総じて上がっており、また最近の賃上げの動きにより食品や食事代はさらに上がっています。民間団体による上限額引き上げの働きかけも一部にみられるところです。
○詳しくは、柴田税務会計事務所 小野迄お尋ねください。