令和7年9月8日
税理士 吉村 潤
所得税の退職所得に対する課税は、退職手当金等の収入金額から退職所得控除を差し引いた残額の半分に税率をかけて所得税が計算されます。
退職所得控除額は勤続年数が20年以下につては、年40万円。20年を越える部分については、年70万円の控除額となります。
今回の改正は、収入金額から差し引かれる控除額の計算に関してとなります。確定拠出年金の一時金の支払を受け、その後に退職手当等の支給を受ける場合には退職手当金等の受給以前10年以内に確定拠出年金の一時金等の支払があるときは、退職所得控除額の計算における勤続期間等の重複排除の特例により、退職手当等に対する所得税を計算するときに、先に支払を受けた確定拠出年金の一時金と重複する期間部分は退職所得控除額の計算から除かれることとなります。改正前は、退職手当等受給以前5年でした。改正前は、確定拠出年金を60歳で受け取り、その後5年以上経過した段階で退職手当等を受け取れば税金の負担を軽くすることができましたが、改正後は10年になりましたので計算期間の重複適用を受けるハ-ドルが高くなったことになります。
確定拠出年金の取り扱いも改正されています。企業型企業年金の拠出限度額が、企業年金がない場合は月額6.2万円に引き上げられました。企業年金がある場合は月額6.2万円から企業年金を控除した金額になりました。個人型確定拠出年金の拠出限度額の方は、第一号被保険者は月額7.5万円に引き上げられました。これに伴い国民年金基金の掛金額の上限が月額7.5万円となりました。
また、退職手当等の支払をする者は、退職手当等の支払を受ける全ての居住者に係る退職所得の源泉徴収票を税務署長に提出しなければならないこととなりました。改正前は法人の役員のみでした。
これらの改正は、令和8年1月1日以後適用されます。
○詳しくは、柴田税務会計事務所 吉村迄お尋ねください。