令和7年5月2日
税理士 小野 貴裕
年収103万円の壁とは、この金額までは税金がかからない、超えるとかかるという区切りの金額でした。103万円は給与所得控除55万円と基礎控除48万円で構成されています。今回の改正では給与所得控除65万円、基礎控除95万円となり、160万円までが税金のかからない金額となりました。
ただしこの引き上げが適用されるのは年収200万円までの人のみです。それ以上の方については合計所得金額によって基礎控除の引き上げはあるものの大きくは変わりません。また合計所得金額2350万円超の方について基礎控除の金額が縮減していくのは従来通りです。給与所得控除も変わりません。
この改正は令和7年より適用されます。令和7年の給与計算は従来の給与所得控除額を基にした令和7年源泉徴収税額表で処理が進んでいるため、年末調整で精算されることになります。このため、今年の年末調整では還付税額が増える方が多くなります。年末調整より前に今回の改正を考慮した源泉徴収を行うことはできません。
○○円の壁というときに所得税の話と同時に出てくるのが、社会保険の130万円の壁です。こちらは年収130万円を超える場合に扶養されていた方が扶養から外れ、単独で社会保険に加入する義務が生じるというものです。一部事業所の人数によって106万円となる方もいます。今回の改正は所得税の話であり、社会保険は従来通りです。
今回の改正は主に年収200万円以下の人に大きく影響しますが、合計所得金額が132万円超655万円以下の方についても令和7年、8年のみ基礎控除額が最大で40万円増えます。ふるさと納税をする際に前年の所得を元に自己負担のない寄付金の上限額を試算しますが、税額が減るため結果として上限額が下がることが予想されます。試算するサイトが対応しているか、確認する必要があります。
〇詳しくは、柴田税務会計事務所 小野迄お尋ねください