2025年5月12更新

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不動産を活用した生前贈与対策

令和7年5月9日

税理士 柴田 幸男

1.居住用財産を贈与すれば売却時に有利

Q1.Aは親の土地に自宅を建てて住んでいます。何年か後にもし転勤等があった場合は、この自宅を売却するつもりでいますが、何か注意すべき点や節税できる方法はないでしょうか?

「Point」
①居住用財産の売却に係る特別控除は、居住している人だけ。
②贈与された不動産の取得価額・時期は引き継げる。
③精算課税制度により贈与すれば、贈与税の負担は軽くて済む。

A1.居住用財産の売却には3,000万円の特別控除がある。

 居住用財産を譲渡した場合は、その所有期間にかかわらず、譲渡所得金額から3,000万円が控除されます。3,000万円の特別控除しても所得が残る時は、譲渡した年の1月1日現在の所有期間によって税率が異なります。

その所有期間が5年以下の場合は短期、5年超は長期になり、居住用の場合で所有期間10年超の時は軽減税率になり、下記[図表]のようになります。なお、特例の適用には必ず所要の手続が必要になります。

A2.居住用財産の特例を適用できる要件

居住用財産の譲渡所得の特例は、次のような条件にあてはまる場合に適用できます。

  1. 居住の用に供していた家屋を譲渡したこと。
  2. 家屋と一緒にその敷地を譲渡したこと。
  3. 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡していること。
  4. 配偶者、直系血族、生計を一にしている親族に対する譲渡でないこと。
  5. その人が、その前年又は前々年の譲渡所得につき、3,000万円控除、居住用財産の買換特例又は譲渡損失の繰越控除の適用を受けていないこと。

 居住用家屋とは、生活の拠点としている家屋をいい、所有者及びその配偶者などの日常生活の状況や入居の目的、家屋の構造、設備の状況、その他を総合的にみて判定します。

 よって、子の自宅の敷地である親の所有地を売却しても、この敷地については親にとっては居住用財産に該当しないので、この特例は使えません。

〇相続税・贈与税についてのご相談は、柴田税務会計事務所 柴田までお尋ねください。