令和6年9月9日
税理士 吉村 潤
最近電子取引の環境が整い、副業をおこなっている方も増加しています。また、政府も少子化に伴う労働人口の減少に対する対策の1つとして会社員の副業を推奨しています。そのような社会情勢もあり税務もそれに対応するため副業に係る所得の取り扱いを発表しています。
会社員が、雇われるのではなく自分でおこなう副業の場合、雑所得として申告することとなりますが、内容によっては事業所得として申告することもあります。雑所得の赤字は、他の所得と損益通算できませんし、翌年に損失を繰り越すこともできません。それに対して事業所得は損益通算や青色申告を条件に損失の繰り越し控除が可能となります。
所得による取り扱いの違いもあって、副業の所得区分について課税庁ともめることがあります。
事業所得か雑所得かの判断基準ですが、通達では「営利を目的として継続的に行う資産の譲渡から生ずる所得」としています。また、「事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する。」と注書きしていますが、解釈に幅を持たせた表現となっています。
したがって、なお書きで「記帳・帳簿書類の保存」「収入金額が300万円以下」を形式基準として担保しています。
「記帳・帳簿書類の保存」がない場合は、原則雑所得とし、保存がない場合でも収入金額が300万円超で、明らかに実質基準を満たしていれば事業所得として扱うことにしています。
保存があれば事業所得として扱っていいのかですが、これについては通達の解説のところで、収入金額が300万円以下で、主たる収入に対する割合が10%未満の場合や、所得が例年赤字で、その赤字を解消する取組を実施していない場合ついて、事業所得ではなく雑所得になると解説しています。
それから、会社から支払われる給与については年末調整により税金計算は確定しています。ですが、自分でおこなっている副業がある場合については、原則確定申告をする必要があります。ただし、副業も含めて給与所得以外の所得との合計金額が20万円以下であれば、確定申告は必要ではありません。
また、副業が、2ヶ所給与となる場合は、給与所得として確定申告する必要があります。ただし、従たる給与等の収入金額と、給与所得及び退職所得以外の所得との合計金額が20万円以下などの場合は確定申告の必要はありません。
〇詳しくは、柴田税務会計事務所 吉村までお尋ねください。