令和6年11月5日
税理士 小野 貴裕
お金を借りて未返済の状態が続くと、預金口座の残高が0円になって驚くこととなります。仮差押えによるものですが、ここではその概要、差押えとの違いなどを見ていきます。
債権者が裁判所に申し出て債務者の財産を一時的に差し押さえる手続きです。通常の差押えは裁判所の判決により効力が発生しますが、判決までには時間がかかり、その間に債務者の財産が散逸することが考えられます。それを防ぐために訴訟によらず差押えを実行できる制度です。
債権者は仮差押え申立書を作成し、実際に債権があること、仮差押えをしたい財産などを説明する書類を整えて裁判所に提出します。その際、差押えしたい財産の10-30%を供託金として支払う必要があります。
裁判所は審査したうえで、申し立てを認める場合には仮差押え決定通知を出します。この通知は勝訴の判決と同じ効果を持つものとして、財産を差し押さえることができます。差し押さえられた財産は処分が禁止され、預金口座の場合は引き出しができなくなります。
通常聞く言葉は差押えですが、こちらは裁判の結果確定した効力として実行し、財産保全するものです。裁判によらず仮に押さえるという意味で仮差押えとなります。
税務署などの役所が滞納に対して行う場合には裁判が必要ないため、最初から差押えを実行することができます。
供託金は仮差押え申立の取り下げや訴訟の確定など、差押えの状態が終了した時点で債権者に還付されます。一方で裁判の結果債権が認められず、債務者にとって損害があった場合にはその担保となります。
債権者の目的は債権の回収ですので、それに向けた交渉をすることとなります。そこで返済計画が合意すれば、債権者から取り下げられることとなります。債権を認めないのであれば訴訟に移ることとなります。また生活費がないなどの事情がある場合には、裁判所に申し出て範囲変更を行うことで、預金の一部引き出しができる場合があります。
〇詳しくは、柴田税務会計事務所 小野迄お尋ねください