令和6年7月1日
税理士 小野 貴裕
夫を基準として配偶者が所得税法の配偶者控除を受けるためには、年収が103万円以下となる必要があります。これを103万円の壁と言います。
社会保険でも106万円の壁、130万円の壁という言葉があります。ここでは社会保険の制度として、夫の扶養に入れる条件を見ていきます。またここでの収入は年収です。
扶養に入る場合、入らない場合の違い
所得税では扶養に入る人がいる場合、元となる夫の所得税の計算で控除が受けられます。妻が扶養から外れる収入となれば、控除はなくなります。
社会保険の収入の106万円の壁とは、妻の週の所定労働時間が20時間以上30時間未満、所定内賃金月額が8.8万円以上などの条件を満たしたうえで、妻の勤める会社の従業員数が101人以上の場合に、妻単独での加入が義務となるという意味です。8.8万円×12カ月がほぼ106万円であることに由来します。社会保険の場合、通勤費も収入に加算されます。
また130万円の壁とは、妻の収入が130万円を超える場合、ほかの条件に関係なく妻が単独で社会保険に加入する必要が出てくるというものです。
社会保険の扶養から外れた妻は自身で国民年金や国民健康保険、又はパート先の社会保険に加入することとなり、月額で2.3万円の負担が発生することとなります。一般的に所得税よりも手取りの差は大きくなります。
妻が夫の社会保険の控除に入る条件
ここまで収入が一定の金額を超えると自分で単独で入るとの話でしたが、もう一つの条件として、被保険者(夫)の収入の1/2未満という条件もあります。被保険者が会社の代表者で役員報酬を低くしている場合、奥さんの収入によっては扶養から外れる場合があるため、注意が必要です。
収入とは
ここまでの話では収入は役員報酬や給与、パート代などを前提としてきましたが、社会保険が収入と考えるものはもっと広くなります。具体的には年金収入や事業による収入も入りますし、遺族年金や失業手当など、所得税の計算では非課税とされているものまで対象となります。
夫、妻それぞれについて元となる人件費の他の収入をすべて足して、収入の壁に当たらないか、被保険者の収入の1/2未満を満たすかを検討する必要があります。
〇詳しくは、柴田税務会計事務所 小野迄お尋ねください