令和6年9月2日
税理士 小野 貴裕
仕事上車を使用することは日常的にありますが、その際に交通事故を起こしてしまうことがあり得ます。ここでは仕事上交通事故を起こしてしまい、その損害賠償金を会社が負担した場合の処理を見ていきます。
法人の役員や使用人がした行為により他人に損害を与え、会社が賠償金を支払った場合について、法人税基本通達9-7-16では次のように決められています。
1.損害賠償の元になった行為が業務の遂行に関連するものであり、故意または重過失に寄らないものについては、その支出した賠償金は給与以外の損金の額に算入する。
2.1の行為が故意または重過失によるもの、また業務の遂行に関連しないものである場合には、支出した金額は役員または従業員に対する債権とする。
ここで「故意」とは意図的にわざと行うことであり、「重過失」とは、わずかな注意により結果を回避できたのに漫然と見過ごした、著しく注意を欠いた状態を指します。この通達は交通事故に限ったものではありません。
交通事故での重過失とは、法定速度をオーバーしていた場合、そもそも免許証を持っていなかった場合などが該当します。
1.の場合であれば支払った金額は損金算入されます。ここで役員賞与、従業員への賞与となることも考えられますが、それらの扱いにはならず、源泉徴収の対象ともなりません。会社の仕事上起きた事故として、会社の負担となります。
2.となった場合にはいったん役員または従業員に対する債権となります。この場合役員等の個人が起こした事故として、賠償金は個人が負担すべきものとなります。
役員等が会社にその金額を支払って完了となるものの、支払能力から見て回収が可能な部分については臨時の賞与等とし、解雇等により回収が見込めない部分については個人に対する貸倒として処理することとなります。賞与等とした場合には源泉徴収の対象にもなってきます。
〇詳しくは、柴田税務会計事務所 小野迄お尋ねください