令和8年4月1日
税理士 小野 貴裕
2026年、賃上げ促進税制が大きく変わります。大企業向けは廃止され、中堅企業向けは要件が厳格化されます。これは税制依存から脱却し、本質的な人的投資へシフトする好機です。ここでは制度の改正点を見ていきます。
そもそもこの税制は2013年頃から導入され、給与等支給額の増加に対して法人税額控除を認める措置として、企業の賃上げを後押ししてきました。しかし、2026年度税制改正大綱で大幅に見直しが決まりました。背景には、春闘などで4~5%超というバブル期以来の高水準の賃上げが定着しつつある点があります。
企業向け(資本金10億円以上かつ従業員1,000人以上、または従業員2,000人超の法人)は、2026年3月31日までに開始する事業年度まで適用可能で、その後完全廃止となります。これまで最大35%の税額控除が受けられたメリットがなくなります。
中堅企業向け(中小企業を除く従業員2,000人以下の法人)は適用期限を2027年3月31日まで1年延長するものの、2026年4月以降は給与増加率要件が3%以上から4%以上に引き上げられ、教育訓練費の上乗せ措置も廃止されます。
ここで中小企業とは資本金1億円以下、資本金がない場合常時使用する従業員数が1000人以下の事業者(その他の条件あり)を言います。
一方中小企業向けは継続され、人手不足対策として手厚く残されます。この見直しは、大企業には「防衛的賃上げ」から生産性向上を伴う戦略的賃上げへの転換を、中堅企業にはより積極的な人的資本強化を促します。税メリットが薄れる中でも、物価高や人材獲得競争は続きます。
ニュース等で大企業の賃上げが取り上げられる一方で中小企業は賃上げの余裕のないところも多くあり、今も賃上げ促進の役割基求められています。
今回は比較的大きな会社を対象とした見直しですが、近い将来中小企業向けの制度も見直される可能性があります。企業に求められるのは単なる給与引き上げではなく、リスキリングや教育訓練、働きがい向上を組み合わせた本質的な人的投資といえます。
○詳しくは、柴田税務会計事務所 小野迄お尋ねください