令和6年12月9日
税理士 吉村 潤
選挙の結果をうけて、税制における103万円の壁が話題を集めています。
12月に入り、今年の所得も計算できるようになり関心も高まっています。
103万円の壁というのは、パート・アルバイトなどの給与所得者が年収について、この金額を越えると、世帯の増加した手取りよりも、増加したことによる税金の負担の方が大きいため手取りの逆転現象がおこることによるものです。
103万円は、税金を計算するときに給与収入から控除する給与所得控除額の最低金額55万円と所得控除である基礎控除48万円の合計をさします。したがって103万円を超えると超えた分に対して本人に税金が発生することとなります。
それから、この103万円を超えると、その人を扶養している親や配偶者の税金計算上、配偶者控除・扶養控除が使えなくなり、親や配偶者の税金が増加し手取りが減少することとなります。仮に、給与収入が100万円から105万円に増加した場合、本人に税金が6千円ほど生じて手取りは4万4千円増加します。親の年収が300万円ほどであれば5万7千円ほど税金が増加するため手取りはその分減少し、世帯の手取りは1万3千円ほど減少となります。103万円を超えたあたりで、世帯の手取りの伸びが鈍化してしまうため壁と表現されています。配偶者の場合は、配偶者控除が受けられなくなりますが150万円までであれば、配偶者特別控除を代わりに受けられるため本人の税金の負担は生じますが、配偶者の手取りには影響がありませんので壁というほどではありません。
その他に気をつけたいのは、配偶者の給与に配偶者手当や扶養手当が給与として支給されていると、その配偶者・子の給与収入が103万円を超えると手当が支給されなくなる場合があることもあるので、その場合は壁がさらに高くなります。
103万円の壁は、税制から生じるものですが、これ以外に社会保険制度から生じる130万円の壁もあります。
〇詳しくは、柴田税務会計事務所 吉村までお尋ねください。