令和6年12月9日
税理士 柴田 幸男
それぞれの特徴とメリット・デメリットと説明しましょう。
本人が自筆で全文・日付・氏名を書いて押印した遺言書です。
財産目録はパソコンやスマホなどデジタル機器での作成・添付が認められていますが、本文は自筆で書かなければいけません。ただし近年では本文もデジタル機器での作成が認められる方向で議論が進んでいます。
自筆証書遺言のメリットは、気軽に作成できることです。遺言書の内容や遺言書自体の存在も秘密にできます。
デメリットとしては、記載に不備があって遺言書が無効になる恐れがあるということ。また、見つかりにくいところに保管しておくと、発見されずに終ってしまう可能性もあります。
また、自筆証書遺言を死亡後に開封するには、家庭裁判所の「検認」が必要です。これは、遺言書が存在していたことを相続人全員に知らせるとともに、遺言書の内容を確認して、それ以降の偽造や変造を防止する手続きです。そして、最も心配なのが、他人による偽造・変造です。その恐れがあるために、遺言書が本物なのかどうか、裁判で争われることがあります。
こうしたデメリットを解消すべく2020年7月からスタートしたのが、法務局による「自筆証書遺言保管制度」です。保管対象となるのは、法務省令で定める様式に従って作成された自筆証書遺言書です。
また、遺言者の死亡後に相続人は遺言書が保管されているか調べたり、遺言書の写しの交付を請求したり、法務局で遺言書を閲覧することもできるようになっています。(遺言書の保管の申請や遺言書の閲覧請求には手数料がかかります。)
次回は「公正証書遺言」について書きます。