令和8年6月1日
税理士 小野 貴裕
令和8年度の税制改正により、暗号資産(仮想通貨)の税制が大きく変わります。これまで雑所得として総合課税(他の所得と合算され、最大約55%の累進税率)が適用されていた譲渡益が、一定の「特定暗号資産」について申告分離課税(一律20.315%)に移行します。ここで改正の概要について見ていきます。
対象は、暗号資産の取引業者として金融庁の金融商品取引業者登録簿に登録された国内取引所経由の特定暗号資産に限定されます。これらの業者は金融庁に対して顧客の取引履歴を提出することが義務付けられており、金融庁は個人ごとの取引履歴、利益の捕捉が容易になります。この捕捉を担保として暗号資産を他の金融商品と同様に扱うという改正がされます。
譲渡益の税率は「所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%=20.315%」で固定され、税率が高くなる高所得者ほど負担は大幅に軽減されます。この割合は金融商品一般の税率と同様です。
また、損失が発生した場合の3年間の繰越控除も新設され、投資リスクを軽減する仕組みが整います。
改正所得税法は2026年3月31日に成立・公布されましたが、適用開始は金融商品取引法(金商法)改正の施行日の属する年の翌年1月1日以降となります。現在は2028年1月1日以降の取引が有力視されており、それ以前の取引は現行の総合課税が適用されます。
海外取引所や未登録業者経由の取引、マイニング報酬などは対象外となる可能性が高い点に注意が必要です。取り扱いの暗号資産の種類やレバレッジの制限などから海外取引所を希望する動きもありますが、今後は譲渡益への税制上の大きな差が付くため、取引所の変更を検討することが必要となります。
○詳しくは、柴田税務会計事務所 小野迄お尋ねください。