令和8年9月1日
税理士 小野 貴裕
政府は今年8月、物価高への家計負担を和らげるため、飲食料品の消費税率を現行の8%から1%へ、2027年4月から2年間限定で引き下げる基本方針を閣議決定しました。9月に税制改正大綱を決定し、今秋の臨時国会へ関連法案を提出する方針です。成立すれば、1989年の消費税導入以来、初の本格的な減税措置となります。ここではその影響を見ていきます。
毎日の買い物に直結するため給付金支給に比べて貯蓄に回りにくく、確実な物価高対策として高い費用対効果が見込まれます。さらに、所得に連動した給付と組み合わせることで、実質の税率ゼロも検討されています。
今回の減税により、売上にかかる税率が1%に下がる一方、仕入れにかかる税率(10%など)が高く維持されるため、多くの小売・卸売業が「仕入れ税額控除」による還付を受ける立場になります。これにより、これまで中小事業者が簡易課税制度などを通じて合法的に手元に残せていた、いわゆる「益税」が消滅します。中小の資金繰りを直撃するリスクがあるため、政府は還付手続きの高速化や短期の無利子融資といった激変緩和措置を検討しています。
今回の1%への引き下げは「従来の軽減税率の対象品目(テイクアウトや一般的な食品)」に限られ、外食は10%のまま据え置かれる見通しです(新聞も除かれます)。これにより、外食店からの顧客流出やテイクアウト専門店への過度なシフトといった、外食産業の空洞化が強く警戒されています。この不公平感を是正するため、政府は外食産業向けに、テイクアウト用設備導入への補助金拡充や、店舗の家賃・労務費を対象とした時限的な税額控除、クーポン事業による消費喚起策など、実質的な経済手当(救済策)を法案と一括で盛り込む方向で調整を進めています。
○詳しくは、柴田税務会計事務所 小野迄お尋ねください。